2002年「黒い服の未亡人」で第一回北区 内田康夫ミステリー文学賞大賞を
受賞しデビューした汐見薫さんの本。
主人公の岩本杏子は外資系企業で働く既婚の30代のキャリアウーマン。
母校でのリクルートイベントでは、後輩の女子学生たちから
羨望の対象として観られていることを意識しながら、
現実はそんなイメージとは異なることを実感している。
職場では、やりがいのない仕事と人間関係に神経をすり減らし、
家庭生活ではアメリカ人の夫との夫婦生活が破綻、別居中。
ビジネスの失敗の影響を受けて自殺したとされた兄の不審死をきっかけに、
物語は動き始める。
あとがきにて、
汐見薫さんは主人公に3つの試練を課してこの小説を書いたと明かしている。
1)日本の金融界の後進性を指摘する。
2)部下に責任転嫁する会社役員にリベンジを果たす。
3)新しい恋を手に入れる。
それがゆえにジェットコースター的というか、無理やりな展開も
多々感じられるのだけれど、こういう成り立ちの小説も
ありかもとは思いました。
特に、
主人公:杏子以外にも登場する個性的な女性たちの数々。
男には書けない小説かもしれません。