表題作「リベルタスの寓話」
「クロアチア人の手」の中篇2作を収録。
島田荘司久しぶりの新作です。それだけでファンはうれしい!
幻想的な謎、それを説明する完璧なLOGIC(論理)。
事件現場から遠く離れたスェーデン・ストックホルムから、
御手洗潔(キヨシ・ミタライ)の鮮やか推理が謎を解き明かす。
島田荘司さんが、自身の小説論の中で提唱している
本格というものを、中篇だけにそこに純度高く焦点をあてて
具現化した作品になっています。
単なるパズルに終わらせないのは
最近の島田さん作品に共通する歴史への視点、
物語の背景になっているクロアチアの民族紛争。
日本人にはあまりなじみがない欧州の歴史の複雑さを知って
理性や分別を超えさせる怨嗟の輪は
断ち切れないものなのか?
考えさせられます。
来年もまた、多くの新作を期待しています。