構想5年、執筆3年、
日本SF史上最高の科学小説と謳われた新時代のSF大作。
<しんかいFD>による深海調査の場面から始まるイントロダクションは、
「日本沈没」ファンには期待を持たせるものになっている。
舞台となった西暦2032年、その設定ゆえの技術の進歩と
現代と変わらない、そして古代にもつながる登場人物たちの時代感が
絶妙な”雰囲気”をかもし出している。
琉球諸島、与那国島の描写、
ダイビングシーンなど鮮烈なイメージをもって浮かんでくる。
謝辞にて作者の藤崎さんが触れているが、
カバーに使われた田中一村画伯の絵が、
すばらしいコラボレーションを実現している。
共感覚をもつ主人公:伊波岳志(いは たけし)、
与那国島の若きムヌチ:後間柚(こしま ゆう)
そして<ISEIC理論>の元に極秘プロジェクトに
集った6人の科学者たち。
上巻では、物語の輪郭がどう収束していくのかイメージできずに時間がかかったが、
下巻に入って壮大なエンタティメントの完成まで
一気に読み終えた。
科学と・・神と共存していた古き時代から続く精神世界の融合・
短い夏休みの間に読めたのは、ちょうど良かった、
新時代の大作として楽しみました。