携帯読書サイトで配信されていたことでも話題になっていた作品。
今までの、雫井さんの小説とは違う世界にとまどいつつも、
主人公の女子大生:堀井香恵の目線で描かれる
ほのぼのした日常と初々しい恋を楽しみました。
香恵がアルバイトする文房具店での万年筆についての描写もまた
愛情があって、魅力的です。
(私も、16才くらいから万年筆愛用してきたので、思い入れあります。)
香恵の住むアパートに残されていたノート。
それを読むことで、浮かんでくる一人の女性の姿。
想像の中で、つむぎあげていったその姿が、やがて香恵とも重なって
そして・・。
あとがきを読んで、何故この物語が書かれたのか・
その背景を知ってまた心に湧き上がってくるものがあります。
2度、3度読み返しました。
雫井脩介さんにとっても、一冊しか書けない本なのではと
思いました。