南太平洋に浮かぶ島、フィジーを舞台にした垣根涼介さんの新作小説。
今までの代表的な作品のラインとはちがう新しい作品でした。
自分が異国の地に降り立って生活していこうとしたときに
その国のカルチャーだとか、自分自身の立ち位置だとか
それをどんなふうに考えて、受け入れて消化していくのか?
読み終えて、振り返るとそういうことを考えていた、
ちょっと不思議な小説です。
今の時代、情報は豊富だし
ある程度、生活したり生きていく場所(国さえも)を選ぶことが
できると思う。
ただし、生まれた国、母国というのは
何の理由もいらずに、ただ自然にいられるだけでも
特別なものだとあらためて思った。
(生まれ故郷、育った街というのもまたそうだと思う。)
南国の楽園というもの、
あこがれの存在として意識はしているけれど、
夏休みや、長い休暇がとれたときに
ゆっくり何もしないですごせる場所としてイメージしていて
強く渇望するものではなかった。
普通に日常生活を営む場所が
平和で、穏やかであればそれで十分というのが
最近の私の心境です。