第26回(2006年)横溝正史賞ミステリ大賞受賞作。
世界がネットワークで有機的に結合されて、どこかのひとつの出来事が
日本の経済にも即時に遡及する様は、もう日常のことになった。
そんな時代を背景に
南米ブラジル、アジア、ヨーロッパそしてアメリカ、
ネットワークと世界経済を絡めて壮大な物語の構築が試みられている。
登場人物もさまざまな背景をもつ外国人が配された意欲作。
エンタティメントの完成度としては、物足りない部分もあるし
アラもある。ただ、
巻末に載せられている選評の中で、
大沢在昌さんが本作について書いている
「新人賞は、ほころびがあっても壮大な風呂敷を広げた作者が
勝ちとる権利がある。」の意見にははっとした。
新作を期待します。