2000年「脳男」で第46回江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於さんの新作。
警察関係者の間で”刑事の墓場"とささやかれる動坂署に異動になった
雨森刑事が主人公。
首藤さんの警察ものは、横山秀夫さんとはまた違って
視点がユニークで独特の魅力がある。
同じリアリティでも、現実は両方の側面を持っているのではと思っている。
おそらく何らかの傷をもって、動坂署に追われてきたはずの
やる気の感じられない、署長以下の同僚たちが別の顔を見せ始める
中盤からの急展開には引き込まれる。
優秀な刑事が活躍するというのは、推理小説（警察小説）が
エンタティメントであるための王道。
ラストシーン。
正直、彼らの行動の動機付けはよくわからなかった。
（桐山署長自身が、同様なことをいっているので・・なんというか。）
ただ雨森刑事の今後はまた描かれるかもしれない、という
余韻を残して小説が終わったのは嬉しい。
