8年後に小惑星が衝突することが発表された地球。
混乱・恐慌の時期が過ぎて、不思議な落ち着きを取り戻した世界。
仙台のとあるマンションに住む人たちを主人公にした8編からなる連作短編集。
個人的には”滅亡もの”はとても好きなジャンルで、記憶に残る名作はいくつもある。
小松左京さんの「復活の日」「こちらニッポン」「日本沈没」、
ジョン・ウィンダムの「トリフィドの日」、「海竜めざめる」e.t.c.
それは、再生や新しい希望とつながるストーリーでもあるからだけれど、
本作は終わりを前に、各編の主人公たちが終わりに向かう様が
描かれていて、こんな小説もあるのかと思った。
「演劇のオール」などは笑ってしまった。
いろんな感情・感傷が想起される。
各編の登場人物たちが、有機的につながっていく様は、うまいと思う。
伊坂幸太郎さんは言葉の遊びをいつも意識しているようだけれど、
本書の各編の題名などすばらしい!