大沢在昌さんの長編小説
主人公:村井は007のようなエージェントにあこがれる30手前の男
いきつけの居酒屋:『ますい』での顔なじみからは”フリーター”と呼ばれている。
『ますい』の常連客の一人であ70歳すぎの白川宛に
電話がかかってくるところから物語が始まる。
冒頭の設定も文章も、
大沢在昌さんのいつものハードボイルド的なテイストとは
ことなるので、大沢在昌さんらしさを求めている人に
ちょっと意外かもしれません。
前半、村井が白川と行動を共にする中で、ひとつの事実が明かされるところは
ちょっとはっとして、期待感も高まったのだけれど
組織の話も、人間関係も、複雑すぎて、ちょんと消化できないまま
ストーリーが転がって、終わってしまった。
そんな感想でした。
作中なんども語られれる、東西冷戦後の世界、
インターネットが広がって変わった世界を、
古参のエージェント(諜報員)たちと、現代の若者である村井たちの視点から
眺める、というのが、この小説の読みどころなのかな、と思いました。