road2vのブログ - a little white rooster

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「リンゴが教えてくれたこと」木村秋則/日経プレミアシリーズ

奇跡のリンゴ”のフレーズで、テレビでも何度か取り上げられてましたね。

絶対不可能の言われたリンゴの無農薬・無肥料栽培を成功させた
木村秋則さん。

本人の語るその成功までの道程は、いやいや本当に壮絶だな・・という
第一印象でした。

無農薬・無肥料に切り替えてから、無収入の状態が続き
畑全面に花が咲いたのは11年目。
周囲からも疎まれて、近所付き合いも途絶えていく日々。

家族もいる、個人の農業従事者にとって、そんな状態に耐え続けることは
不可能・・ということなのですよね。

テレビで切り取られるエピソードは印象的なものだけピックアップされるけれど、
現実の時間は、連続して続いている。

当然、生きるためにアルバイトや出稼ぎに頼る必要もある、
食べるための農業も並行する、
その中での試行錯誤や、発見、変化。

本書の中で、もうひとつ印象的だったのは、
農業がこんなにも、自然と密着した、科学だったというところ。

作物だけではなく、草、虫、ミミズ、ウサギ、野ネズミ、野鳩に、カモ。
土を肥やす豆科の植物。

農業の技術というのは、もうほとんど確立しているものかと
思っていたけれど、

農薬や化学肥料、品種改良による種苗技術
などが広まったことで、なにより毎年の収穫・収入確保が必要な農家には
自分の経験もふまえて試行錯誤を繰り返すような余裕がなかった。

農協主導の
安定して、継続できるレシピを繰り返すこと。

木村さんのいう"自然栽培”は、実は収益的にも、既存の農業に遜色ないレベルが
すでに実現できるメリットがあるということ。


木村秋則さんが、日本全国からの招聘を受けた農業指導にも力を注ぐなかで

”自然栽培”を経験した若者が、
まったく新しい農業というものに魅力を感じて目を輝かせている
それが、なによりの希望でした。