road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「超常領域」半村良/祥伝社

半村良さんの本を読むのは、20数年ぶり。

古くは「戦国自衛隊」から「亜空間要塞」、「不可触領域」など。
当時、日本のSF作家の作品をたくさん読んだけれど、
半村良さんの作品は、主人公が大人・というイメージがあって、
ジュブナイルとはちがうジャンルであって魅力的だった。

”亜空間”という言葉も懐かしい。

本作でも、主人公が見知らぬ地方都市にたどり着いて
その街の特殊さに疑問を持ち始める導入部から
話に引き込まれる。
架空の街の造詣のリアリティ、その視点が
大人なのだなと思う。

小松左京さんの「首都消失」は、
とつぜん謎の壁で空間的に遮断された首都・東京に対して
残された側の日本を描いた作品だったが、
この小説では、遮断された街が舞台になる。

最後に、こういうテイストになっていくとは想像できなかった。

エネルギーそして食料が生きていくということの最後の鍵であるという
ことを、冷酷なまでに表現している。

コミックやアニメでの明るい未来は、この二つが確保される前提
で成り立っていると改めて思った。

原油価格高騰と最近の中国製ギョーザに象徴される食の安全問題という
現実のトピックとのシンクロニシティに驚かされたが
(本書の初刷は平成2年12月)

日本の抱える大きな問題は、結局変っていない。