「果つる底なき」で第44回江戸川乱歩賞を受賞した池井戸潤さんの小説。
M資金詐欺を軸に、近年の銀行を舞台にして物語は進む。
主人公:東京第一銀行羽田支店の副支店長 蓮沼の逆転劇には
カタルシスを覚えた。
物語ゆえのシンプルなご都合主義は散見されるのだけれど、
リアリティがすべてではない。
作家が、賞や名誉を考えるとリアリティを優先させるのだと思うけれど、
一読者としてはエンタティメントの価値の方を評価したい。
(もちろん元銀行員(旧三菱銀行)である池井戸さんの書く銀行業務の
ディテイルの下敷きも有効に働いてます。)
昨今のさまざまな事件や不祥事を思い起こすと
先日読んだ江上剛さんの「統治崩壊」でもそう思ったけれど、
権力を握るということ自体が、人を愚かにするのかなと思う。
{こういう小説を楽しめるということは、
自分も相当ストレス溜まっているのだろう..ね。}