昭和40年代、
とある東京の下町を舞台にした7篇からなる連作短編集。
「紫陽花のころ」
「夏の落し文」
「栞の恋」
「おんなごころ」
「ひかり猫」
「朱鷺色の兆（しるし）」
「枯葉の天使」
独特の怖さもある不思議な話、
というのが朱川湊人さんの短編のイメージで、
そのクセが味であるけど苦手と感じる部分もありました。
書名からみて本作もその系統と思ってましたが・・
・・
よい方向に裏切られました。
アカシア商店街、幸子書房、サワ屋酒店、スナック「かすみ草」、
そして「覚智寺」、
昭和40年代という設定と、懐かしさを感じる下町の描写、
やさしくおだやかな気持ちで
そのちょっとだけ不思議な話を
まるで自分がかつて生活したことのある街の話のように
読みました。
こういう小説集って、いいなと思います。
おすすめです。
朱川湊人さんのファンで、未読の人がいたら
ぜひ読んでみて欲しいと思います。
