第52回江戸川乱歩賞受賞作。{「三年坂 火の夢」早瀬乱との同時受賞。}
シベリア抑留に焦点を当てた点が、新しい。
(学生時代に、英語を教えてくれていた先生が、
シベリア抑留経験のある人で、つらいことは語らなかったけれど
後にシベリアなどを訪れた経験をなんどか聞かせてもらいました。
同胞を弔う旅だったのかと思います。
とても明るくて元気な人で好きだったな。)
歴史の真実の重みと描写される舞鶴などのイメージがあいまって
近年の乱歩賞になかったテイストをかもし出していると思う。
主人公と妹、やり手の同僚女性上の関係も、
好感もてるものだったのだけれど、
事件の重みの分、単純に楽しめない部分がエンタティメントとしては
マイナスに働いたかもしれない。(それはしょうがないことだけれど。)
# 購入してから1年以上経過して、今年の受賞作「沈底魚」も
出版されてしまいました。
乱歩賞は、旬の時期に読んだほうがよいですね。