瀬尾まい子さんの長編小説。
舞台は、市野中学校陸上部駅伝チーム、
連続出場を続けている県大会進出をめざした
3年生主体の6人のチーム。
この10年くらい、陸上の世界を描いた傑作小説が増えているな、
感じてます。
新世代(と思える)監督のいるチームが活躍して、さらなる人気化した箱根駅伝はもちろん
それに連なる高校駅伝や都道府県対抗、企業対抗の大会も
中継や放送を観る機会が増えています。
それに対して、中学の駅伝(3*6人で競う)。
本書でもそうなのですが、陸上部の所属とは関係なく
走るのが得意な生徒が協力して走ることもそれほど珍しくないと思うし、
アスリート的な観点で題材としてもちょっと魅力が落ちると思っていたのですが。。
おもしろかった!傑作でした。
1区から6区まで、それぞれを走るランナーの視点で振り変えられる
本番までのストーリー。
すべてのメンバーをまとめる主将:桝井日向はもちろん
設楽、大田、ジロー、渡部、俊介
それぞれの視点の中での見え方や絡み合う気持ち、
二人だけの間で交わされた会話、
ためにためた最終6区での、桝井の章で
それまでの各メンバとのエピソードが
積み重なって、初めての桝井の視点でのふりかえり。
まさに青春小説だなと思いました、
そして陸上には門外感ながら初めて陸上部顧問になった美術教師の上原先生、
教師としていい仕事している、したんだな。
三浦しをんさんによる、愛のある解説もよいです。
おすすめ。本書に続く続編も書いてほしい。読みたい。
(これは特に中高生に読んでほしいな、と思います。)