横山秀夫さんの長編小説。
主人公は建築士の:青瀬稔
かつて青瀬の設計した家に感銘をうけた施主:吉野からの
「自分が住みたい家を建ててください」という言葉にのって
仕上げた渾身の家:Y邸。
それは、かつて自分の家へのこだわりに絡んで夫婦破綻を経験した
青瀬にとっても特別なものでもあったのだが、
完成時に青瀬と同じようにその出来栄えに感銘を受けていた様子だった
吉野家族から、新居で生活を始めてからの連絡がなく。。
面白かった。濃密な時間でした。
ブルーノ・タウトの足跡を追いかけるという
もうひとつのストーリー、
謎を追いかけるという意味でミステリになるのかもしれないけれど
バブル時代の華やかな喧噪と崩壊後の挫折
自分の過ごしてきた人生に紐づく夢、
食べるためという仕事への妥協だったり、挫折だったり。
主人公たちの
年齢・世代はたぶん自分と同じかちょっと上くらいなのかな、と思う。
ほとんど重ならならないはずの人生なのに、そのリアリティを強く感じました。
物語後半の悲劇からの逆転劇、
わくわくして、そして、ほろりとします。
そしてラスト、家族の再生の期待のあたたかさ。、
吉野やその父親の人生から、青瀬の父親の人生とのかかわり、
何度も読み返してました。
横山秀夫さんの最高傑作だと思いました。
おすすめ!