眉村卓さんの本。
がんで余命1年を宣告された妻のために、作家である夫が約束したのは
毎日1話の話を書きうづけること。
書評や記事などで話題として取り上げられることが多かった本なので
ご存知の方もおおいのかなと思います。
(奥様が亡くなられたのは2002年5月とのことなのでそれでももう
1778篇から選ばれた19篇とエッセイ、
40年以上連れ添った夫婦の関係は、自分には想像しかできないのだけれど
高校を卒業してから付き合い始めたところ、会社員として働きながら
文筆活動と2足のわらじ生活を送っていたころ、
同じ時代を連れ添って生きてきたパートナーとのおだやかな
関係性というのが伝わってきす。
最後の入院の時、葬式について妻が尋ねてきたとき
妻が「わたし、してもらいたいことがある」
「お葬式の名前は、作家眉村卓夫人、村上悦子にしてほしい」と言ったこと。
眉村卓さんの”私の協力者であることに、妻は自尊心と誇りをもっていたのだ。”
というところが印象に残りました。
「最終回」の最後の言葉、
”また一緒にくらしましょう。”、を読むと、
ちょっと気持ちが重なって涙がでそうです。
<眉村卓さんのSFジュブナイル作品の思い出>
自分が中学生1年生の時に、
「まぼろしのペンフレンド」を初めて読んだのが契機で
その後、日本のSF作家のSFジュブナイル作品にどっぷりはまることになりました。
図書館の隅で、ぽつんとジャンルの違う本の中にまぎれていた小松左京さんの
「みえないものの影」を見つけてよろこんだのも、その頃でした。
日本のSF作家たちの作品のおもしろさに目覚めさせてくれたのは、
眉村卓さんを初めとしたジュブナイル作品です。
「謎の転校生」、角川映画化された「ねらわれた学園」、
10代の頃出版された眉村卓さんの本は、ほとんど買っていて、
就職して上京したときも持ってきました。
今でも書棚いに並んでいる宝物です。
同時期にファンだったSF作家仲間である光瀬龍さんのエピソードも
ちょっと本書ででてきました。
時代は変わったけれど、
今でも楽しめる優れた作品たちだと思う。
電子書籍で、今の子供たちにも読んでほしいな、そう思いました。