浅田次郎さんの長編小説。
大手商社の関連会社に役員として出向した竹脇正一が
定年を迎えた送別会の後、地下鉄での帰宅途中で倒れて病院に運ばれる。
本社の社長で長年の友人でもあった堀田典雄が
それを知って病院を訪れるところから者が物語は始まる。
堀田典雄が主人公であるストーリーと思っていたら
違うのか・・ところがちょっとした意外性で、
竹脇正一を慕う妻に親友、娘婿、愛娘、
彼を看護する看護師
彼・彼女らの視点と、竹脇正一自身の人生を振り返って行く中で
最後は人の人生というのは、いろんな縁でつむがれていくそれぞれが独立した
ものなのだなと思った、というのが感想です。
かつては遠い年齢だった65歳という歳も、自分と近いものに感じられて
それが歳をとることの良さでもあるな、と思いました。
地下鉄がとてもあたたたかいものの象徴として描かれていてそれもよし。
本当のことを知った竹脇正一が、もし目を覚ましたなら
妻や娘、娘婿に何を話すのか・・ そこもちょっと読みたかった。