久坂部羊さんの長編小説。
舞台は天都大学医学部附属病院
前院長である宇津々の死去に伴う院長選挙
院長の座を争う4人の候補者(副院長たち)を
「医療崩壊」をテーマに取材するフリーライター:吉沢アスカの視点で追う。
書名をみると、奥田英朗さんの「町長選挙」を思い出して
ユーモラスなものも想像してしまうのだけれど、
そこは、医師でもある久坂部羊さんなので
おそらくは実体験にも基づく部分もあるのかもしれない、
登場人物たちの行動・言動への厳しい批判的な描写が続いて
とても、気持ちよく読めるとは言えない状態。
そんな中で、
吉沢アスカの取材対象として、コメディカルの章での
遠井技師部長のコメントには、
救われてちょっとほっとします。
どんな終わり方をするにしても、あまり読後感がよくなさそうな予測の中、
そうきたか?というラスト。
結構、ほっとした。というか、
途中の候補者たちの迷いのない言い切りとか、自分の気持ちに一切制限をかけない様まで
思い出して、おもわず笑ってしまった。
久坂部羊さんの本意は、こんな読後感をもたらすことにあったのかもしれません。