橘玲さんの長編小説。
主人公である桂木憲一とその娘:マリ(茉莉愛(まりあ))が
パスポート取得を契機に、巻き込まれる2重婚・戸籍についてテーマにした小説。
経済やファイナンスについて書かれた今までの小説とちがって、
最初はとまどうものの、法的なこと、事実をベースに紡ぎあげるスタイルは
同じです。
現実のよいところも厳しさも・・客観的に描きだされるところ。
時代はまさに今、
フィリピンのドゥエルテ大統領当選や東日本大震災後の
福島原発も背景舞台としていて、現在を舞台にした臨場感があります。
読者モデルをしている主人公のマリが、
フィリピン人の母を持つ兄ケンと会い、やがて姿を消した兄を探しに
フィリピンに単身向かうところ。
自立して成長していく姿は、頼もしくこの小説のいちばんよいところなのだけれど
たどり着くところは、
ケンの母、マリア・ロペスの気持ちを感がると悲しい。
Never paint your bule sky black
(こころの青空を黒く塗りつぶすな)