road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「望み」雫井脩介/角川書店

雫井脩介さんの長編小説。

家に戻らず、行方のわからなくなった長男。

その友達の死体が発見され、事件に巻きまれたことがわかるも、
その背景も、加害者なのか被害者なのかもわからない。

親(父親、母親)として、家族(妹)としての気持ちの揺れ動きが
生々しくて、

ネットでの書き込みやマスコミ取材の様子は、
ごく抑えられた表現になっているものの、

当事者の感じる痛みを感じた。

ネットでささやかれるストーリーと

友達の見た実際、の証言とのちがいは小さなものかもしれないけれど

決定的な違いがあることが
最後にはわかるのだけれど、

それは小説だからできたことかもしれないし、
こんなふうには知ることができないものなのだろう。

自分の身の周りで起こったことだったらと思うと、
心が揺さぶられる。

事件の見方を、第三者の安全な立場から
想像力をもったものに変えていく、というのは

これからのネット社会で特に求められているものだと感じました。

派手ではないけど、
読んで良かった本、です。