荻原浩さんの長編小説。
主人公の望月惠介は、
37歳のかつては有名な賞もとったことのある元広告代理店勤務の
グラフィックデザイナー。
代理店時代、初めてまかされて手掛けたCM製作で知り合った”手タレ”の妻:美月と
長男の銀河。
家族には恵まれているが、
独立しての仕事はなかなか厳しい。
そんな時に、父親が倒れたという知らせ。
静岡の実家へ。
かつて抜け出すことを考えていた家業の農業、
息子が後をつぐことを期待していた父親が始めたイチゴつくり。
ストロベリーライフは、
とりあえずとりあえずのつなぎとして取りかかった父親不在の間の
イチゴつくりとのかかわりそのものなのだけれど
たんたんと農作業と家事を両立してこなす母
3人の姉たちと、その夫や子供たち、
地元で家業をついでイチゴ作りで成功しているかつての同級生
祖母と、退院してリハビリを始めた父
田舎や実家での家族とのやりとりは、リアリティがあって
わずらしくもあるけれど、共有した時間とその歴史、
頼りにもなったり、自然にそこにいるものだったり
ゼロかイチが、人生なんてわかりやすいものではなし
派手なしかけや、ドラマがあるというわけでないのだけれど、
素人の主人公がイチゴつくりの難しさや楽しさと一緒に
新しい家族と人生のありかたを考えていく
ストーリーを楽しみました。