有栖川有栖さんの長編小説。
英都大学社会学部准教授:火村英生(臨床犯罪学者)と作家:有栖川有栖のペアが活躍する
シリーズ最新作。
火村英生シリーズは何作か読んでいるのだけれど、
派手なイメージがあるわけでなくあまりキャッチ-な印象はなかった。
それが、今年はじめのドラマ化作品を観て、すっかり自分の中でも
イメージがリニューアルされました。
読み始めから映像が一緒に想起される感じ。
こういう幸福スパイラルはよいなと思います。
大坂・中之島にある古くて小さな、しかし存在感のある銀星ホテル
そのスイートに5年あまり滞在していた梨田稔が死体で発見される。
警察の判断は自殺。
だが彼と交流がありその自殺を信じられないホテルオーナーと
同じくスイートの常連客でもある大物女流作家が
真相解明を依頼する。
密度の高い、
小説でした。
阪神・大震災や、東関東・大震災はもとより、
最近のISLの事件などがリアルな社会環境として登場していて、臨場感が
通常の推理小説とは異なるレベル。
作中でスマホについての記述もあったのですが、
これは、数年後とかでなく、
今読んだほうがよさそう。
しかし、
それにしても火村英生/有栖川有栖ペアって30代半ばなのか。。。若い。
梨田稔の人生、
世の中には、そんな運命を背負うタイプの人もいるのか
物語前半の落ち着いたイメージからの転換を
有栖川有栖さんの調査と一緒にトレースするというのは
推理小説を読んでいてもなかなか味わえない経験です。
火村英生が合流してからの急展開もまた。。
ちょっと歯車がちがっていたら。。
そういう感触が残ります。
ドラマの火村英生ファンにもおすすめです。