島田荘司さんの長編小説。
ハードカバーの表紙は、
都会の夜景を背景に薄暗い屋上で踊るピエロ。
そのおどろおどろしさのイメージから「摩天楼の怪人」に通じるものを想像しながら
読み始めたのですが、
冒頭から、
グリコ・キャラメルをモチーフにしたと思われる”ブルコ”の走るキャラクター看板をめぐる
郷愁をそそるモノローグ。
その後の登場人物たちの織り成す会話も、
大阪弁(感化されたにせものもあり。。)で
次々に起こる連続事件の悲痛さを
わすれさせるような展開。
終盤にいたるまで、この小説が
”御手洗潔”シリーズの作品であることに気づかなかった、です。
前作「星籠の海」は、歴史(だけでなく)ロマンありのちょっとどきどきするようなドラマ
(だから初めて?映画化されたのも納得)だったので、
その落差もちょっと面白い。
脇をかためるエピソード、真実を固めるピース。
ラーメン屋と仏具屋とロールスロイス・ファントム
レストラン・シェフとドン・ぺり。
そもそものサンタクロース強盗
最後に、
この長編小説で、島田荘司さんが作り上げた
”謎と幻想の提示とその論理的解明”
その肝がなんだったのか?に新ためて気づいたときには、
思わず笑ってしまいました。
島田荘司さん自身、執筆中にほくそ笑んだいたのじゃないかな、と想像しました。
おすすめ、です。