宮部みゆきさんの長編小説。
物語の語り手の視点が学校内裁判の主当事者(検事、弁護士)から離れたことで
機↓局瑤稜さみたいなものが薄れ、ちょっと冷静な感じになって
最初は少し物足りなさを感じました。
最後まで読んでみて
あらためて第三者的な視点で事件を振り返るために、おそらく意図的に行われたのかなと
思いました。
宮部作品の十八番である最後のどんでん返しのようなものは、
ある程度、複線としても匂わされていたので、ああ!という驚きはなかったのですが
学校内裁判に関わった関係者の心に湧いたのと同じような感覚を
持てたような気がします。
読み終えた感想、
おもしろかった・・のはもちろんですが、
もう過ぎてしまった青春というものへの郷愁みたいなものを強く感じてしまいました。
実熟で未完成だからこその可能性とか、そういうものはもう持てないのだという寂しさ。
エピローグで、
20年後(2010年春)に教師として母校:城東第三中学校に戻ってきた登場人物が描かれます。
「あの裁判が終わってから、僕ら」
「--友達になりました」
それぞれに歩む道は違っても、今でも友達だ。
長い小説だからこそ、作り出せる感覚がある、と思いました。
おすすめです。