百田尚樹さんの長編小説。
かつてその顔の醜さで、バケモノ扱いされて悲惨な日々を過ごした街に、
20年ぶりで戻ってきた主人公。
整形手術に莫大な金額をかけて完璧な美人として駅のプラットフォームに
降りるシーンから物語がはじまる。
映画化もされたし、百田尚樹さんの作品としてテレビでも紹介されることが
多かったのだけれど、ストーリーのアウトラインの紹介をみているかぎり、
かなり陰惨な復讐劇が繰り広げられるのかと思っていた。
実際は、傷つけれられて怒りをためこんでいたけれど、
素直で悪にもなりきれない、切ない女の人生の物語。
終盤、唯一自分のすべてをさらけだせた男、崎村に
田舎の九州に一緒に来ないかと誘われるシーンがあるのだが、
一緒にいけば幸福になれることを確信しながらも、ついていけない主人公。
最期は、自分の望む幸せの中だったのだろうか・
きっとそうなのだと思う。