垣根涼介さんの長編小説。
主人公はフリーの建築設計士として働く太刀川要。
ある日、部屋にとじこもりっぱなしの仕事のストレス解消で
夜中に愛車のレガシィB4で房総まで走りにでかけた彼は、
クルマの前に飛び出した黒い大きな犬と出会う。
深い傷を負ったその犬の手当てを行おうとして病院を探す主人公。
後にジョンと名付けて一緒に暮らすことになる、その黒犬こそ、
長い月日を経てある事件をきっかけに実体化した狛犬だった。
人の言葉を理解するジョンは、それを悟られないようにふるまうのだが、
ある日のニュースで、主人公はジョンの起こした事件を知る。
メインテーマは、ジョンの存在とその不可思議さなのだけれど、
主人公の生き方が、垣根涼介さんの1連の作品の主人公とかさなって、
それが一番の魅力になっている。
主人公がジョンに伝えたいと思ったこと
時間さえ経てば、また気楽に息をできる。