伊坂幸太郎さんの長編小説。
物語の語り手は、望月家の長男良夫が運転するマイカー、マツダの緑色のデミオ。
彼の眼を通して、
望月家の家族が巻き込まれた大小様々な事件の顛末が語られる。
クルマたちが、こんな風に持ち主や人間たちのことを話題に
話してると思うと、ちょっと楽しい。
謎を漂わせた女性、怖い悪党や、偽悪的だが実はよいところのある雑誌記者、
そしてフランク・ザッパ
伊坂さん作品にはおなじみのシーンも多い小説なのだが、語り手が
変わったことで、ちょっとちがう感触はある。
主人公は、2輪車にも気さくに声をかけるのだけれど、最後まで話が通じず、
コミュニケーションができないところには笑ってしまった。
エピローグ
成長した望月家の二男のマイカーとして戻ってきた緑デミオの言葉を
長女まどかの娘:翠が聞き取る。
「やあ、ザッパ、ひさしぶり」隣家の細見家のカローラへの言葉
人間の視点でかかれた本作の最期、ちょっとほろりとしました。