谷甲州さんの長編小説。
とにかく精緻で濃い描写の谷甲州山さんらしい小説世界に
気づいたらどっぷりはまっていた。この感覚はひさしぶり。
主人公:松濤禎(まつなみただし)は、かつて同じ女性を愛した
鍬形省吾の消息を追いかけて小樽からウラジオストクへ。
戦後の日本(というか世界そのものか)の貧しさや生活の厳しさの中で、
たくましく生きてていくことが求められるゆえの
人間の強さがまぶしい。
「終章 平成三年十二月」
で突然現れる現代の日本の風景との落差に、
平和と安心の中での生活できている幸せを感じる。
夏休みの読書にはよいかもしれない。