road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「巨大訴訟 上・下」ジョン・グリシャム/新潮文庫

ジョン・グリシャムの長編小説。

前にグリシャムの本を読んだのは、ずいぶん昔になる。
先日、映画「ペリカン文書」がTV放映されているのを観て、録画したのだけれど、そのくらい前。

クーンツもそうだけれど、新作がアカデミー出版から出版されるようになったのが
離れるきっかけだった。実際にそれぞれの作品を読んだことはないのだけれど、
先入観による偏見はなかなか強い。読んだことのある本の超訳ってすきになれなかった。

映画化などに合わせ広告が新聞で大きくでているとき、新作をキャッチアップできるのだけれど、
新聞とるのを止めて、本屋にいく機会も減ってくると、また普通の出版社から
新しい本がでているのにも気づかなかった。

さて本作、
主人公のディヴィッド・ジンクは超大手法律事務所に勤めていた若手弁護士。
ある朝ついに心が折れて、職場のある高層ビルから飛び出すところから物語は始まる。
ハーヴァード出のエリートで、高給取りでもある彼が、たどりついたみすぼらしい事務所。

勝利や成功というよりも、挫折とそこからの再生の物語というのが
今までの本とは少し違うところ。

まきこまれる巨大訴訟も、下巻最初の時点でこれ以上ない敗北が見えてきて、
どう考えても逆転などありえそうもない。
そんな中で、ようやく一矢報いるところが本作で爽快なところ。
そして、ディヴィッドのこれからを決めることにもなる、移民家族を襲った
子供の鉛中毒事件。

信頼できる妻に、守るべき子供、
たよりなくても結局は彼が最悪の時に手を差し伸べてくれた同僚、
そして得た独立と弁護士として天職と思える仕事。

今の自分と比べて、
幸せとはどういうことなのかを考えさせらた。