road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「歌うクジラ 上・下」村上龍/講談社

村上龍さんの長編小説。

初版は2010年。ちょうど何度目かの電子書籍への期待がもりあがったときで
作家自らが積極的に電子書籍をプロデュースする動きの中心に
村上龍さんがいた。
歌うクジラは、自ら興した会社から電子書籍を出版するということで
表紙の見せ方など、電子書籍ならではの工夫でテレビなどでも
何度かプロモーションされていて、今この時期に紙の本で読むのは
ちょっと不思議な感じです。(図書館で借りました。)

舞台は近未来、不老不死を実現する遺伝子が発見された社会で
誰が不老不死の恩恵を授けられるべきなのかという難問に対して
誰を不老不死にしてはいけないのか?という問いの答えは明白だった。

結果として実現した階層社会の調和した世界。
時間が進む中で、下層とよばれ隔離された島を出た主人公タナカが、
父親の意志を受けて旅にでる。


村上龍さんの小説には、近未来を舞台にしたものがいくつかあるけれど
不老不死の遺伝子という社会を変える要素を得て分化した社会を
描いたこの小説の力はすごい。


ところで、今、Kindle版っていくらなのかと思って調べたら
ありませんでした・・・。いろいろと問題はあるのでしょうけれど
こういうことが、電子書籍の本当のブレイクを妨げてるのではないかなと
思います。