歌野昌午さんの長編小説。
愛娘:春夏を事故で亡くした主人公:平田誠55才、
保安係として働く総合スーパーで、
空腹のあまり万引きした末永ますみと出会う。
共通点は、娘と同じ歳の生まれであること。
仕事優先で生きてきて、
勤務するスーパー本部でも取締役昇格を目前にしたエリートだった平田が、
娘を亡くして、傷ついた妻と自分を支えるために変えた生活、
そして今、妻をも亡くして
希望をなくした状態で生きている。
こういう立場の主人公に感情移入してしまうのは
自身の年齢のせいもあるだろうと思う。
それに、末永ますみの境遇
小説やドラマの中だけの特別な話ではない・・のだなと思う
現状がある。
歌野昌午さんの作品だけに、
ただの小説では終わらないという期待感をもって読んでいて
それは、裏切られなかったのが・・・
切なく、悲しい。
二人にとってもっとよい結末があったのではないか・・
と思ってしまう。
それがよくできた小説だからということなのけれど。