road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「ゴーグル男の怪」島田荘司/新潮社

島田荘司さんの長編小説。

巻末の説明:
本書は、NHK総合テレビで2011/8/5に放送された番組
探偵Xからの挑戦状!夏休み・島田荘司スペシャル『ゴーグル男の怪』のために
執筆された作品をもとに大幅加筆、改稿を経て単行本化したものである。

こんな企画があったのは知らなかった。

物語は、島田作品の定石、幻想的な(今回はその不可解さ?)謎と、
その論理的な解明。


そして裏にあるもうひとつのストーリーの語り手である主人公。

高速増殖炉の燃料を製造する企業:住吉科研で起きた臨海事故。

強い放射線を浴びた派遣作業員二人は死亡、
防護服を着て、二人を事故現場から救助した社員である主人公は、
検査の結果、問題ないと診断されるも、
遺伝子を破壊され治癒能力を失い、皮膚がなくなり
筋肉組織がむき出しになったままの作業員の姿にショックを受ける。

バケツにウランを放り込んでまぜる作業。

量が多すぎると臨界事故が起る可能性がある、
次々に入れ替わる派遣の作業員に何度も何度もその説明を繰り返す企業側には、
だんだんその危機意識がなくなっていく。

実際にあった事故、ニュース聞いたことであっても、
福島原発の事故のあとでは重みが違う。

原子力を扱うのがどういうことであるのか・・
物語の形で読めることも、必要な方法の一つだと思った。