road2vのブログ - a little white rooster

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「名車交遊録 上・下」島田荘司/原書房

島田荘司さんのかつての名著
島田荘司の名車交遊録 機械仕掛けのエクスタシー」立風書房
を復刊させたエッセイ&写真集。

島田荘司さんの
新本格推理小説だけでなく、自動車評論のファンでもあった私は
オリジナルはもちろん本屋で見つけてすぐに買ったし、
一時期は就寝時に何度も何度も読み返す一冊だった。

日本車が世界のTOPを極めた瞬間、
SKYLINE GTR(R32),ユーノス・ロードスターの章は
特に何度も読んだ。

荒木希美男氏によるフォトもとても素敵なもので、
カーグラフィック誌などと比べても
ドラマを想起させて、その車を所有したいと思わせるものになっている。

あらたに書き下ろし読みきり小説2編を掲載した復刊
上:「人魚兵器」
下:「耳の光る児」

小説については、別の本に編まれたものを読んでいたので、
新しく読みたかったのは、オリジナルの
島田荘司の名車交遊録」に未収録だったエッセイ7編。

追加されたのは下記7+1編。

上:
原点は男のために Morgan Plus 8, 1991モデル

下:
三日早いチーズ Porshe 944 S2 Cabriolet, (1982),1991モデル
王宮の離れの伝説 RollsRoys Cornish III, 1991モデル
アルファロメオ赤軍派 Alfa Romeo Alfa164, 1991モデル
極東に現れた貴族の車 Maserati 222S, 1991モデル
コーリン・チャップマンの祈り Lotus Esplit turbo SE, 1991モデル
天才のいないスーパーカー Honda NSX, 1991 model

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エデンの東 Porshe Boxter, 1999モデル
(Car&Driver誌に掲載されたもの)

上・下巻におのおの島田荘司さんによる「後書き」が付されていて、
この本が復刊されるにいたった過程が説明されている。

最後のエッセイ「エデンの東
Car&Driver誌に掲載されていた島田荘司さんの連載も
当時は不定期連載になっていて、
自身でも新車でS2000を買ったの機に
Car&Driverを初めとした自動車雑誌の購入をやめた。

下巻の後書きで、
LAでの自動車天国といえるような環境での数年の生活を経て、
島田荘司さん自身、自動車熱中時代が終わっていったと書かれていて、
寂しくもあり、それは自分自身や今の日本の状況とも
重なっていると思う。

かつては、
ドイツ車をたとえば新車で買うなんてのは
高価で考えられない夢だったけれど、
アメリカから1-2年落ちの中古を個人輸入したら・・とか
10年でも20年でも乗り続けたら安いものだ・・とか
いつも考えていたものだった。

日本人の自動車への熱さは、もう戻らないかもしれない。
それでも、かつて熱かった思いは、対象は変わっても
取り戻せればと思う。