road2vのブログ - a little white rooster

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「漂流巌流島」高井忍/東京創元社

主人公が、歴史的資料だけをもとにその謎を解く。

海外に傑作長編の多いこの分野が、日本でも成立するのだということが
新鮮だった。

- 漂流巌流島
- 亡霊忠臣蔵
- 慟哭新撰組
- 彷徨鍵屋ノ辻
の4編を収録。

ドラマや映画、それに劇画や漫画で身近な分だけに、
講談的な要素が入ってくるのはあるにしても、史実としての
事実は十分に咀嚼されているものと思っていたけれど、

制度や文化の面で貪欲な変遷を経てきた日本だからこそ、
行動の理解についても、誤解が入る余地があるのだと
いうことがある。

このことは、現在についてもいえるのではないかな。

時代背景や時勢を共有しているからこそ、
伝わる凝った言葉やいいまわしも、わずかな時間を経た後でさえ、
その真意を伝えられなくなってしまう。

インターネットで、言葉はいつまでも正確に残されたとしても、
その真意は、簡単に失われ得る。

書き残す言葉に、伝えたい、残したいものがあるなら、
そのことは意識しておく必要がある。
そう思う。