road2vのブログ - a little white rooster

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「虚無」薬丸岳/講談社

薬丸岳さんの長編小説。

北海道、白い雪で蔽われた公園、
心神喪失状態の通り魔犯に襲われて
最愛の娘を亡くした妻。

自らも重症をおったものの生き残った母親は、
精神的に追い込まれて、犯人と同じ統合失調症と診断される中で、
偶然かつての通り魔犯を見かける。

薬丸岳さんの小説は、
警察・刑事ものというより、犯罪者や犯罪被害者の姿や生き方をなぞったものが
多い。
明るいとは言いがたく、かといって開きなおって露悪的な興味に走るでもなく、
独特な世界観だと思っていた。

そこにどんな魅力を見出すべきなのか?
あるいは感じているのかと考えていたのだけれど、

人の心の痛みや傷について、
想像や思いを重ねることを、促しているのかもしれない。

そういった想像のできない人が増えれば、
日本はきっと幸せから遠ざかることになる。

そう思いました。