内田康夫さんの、「浅見光彦シリーズ」新作長編。
観光地や歴史にまつわる事件が多いシリーズ作品の中で、
今回は、群馬県高崎市の中学新任教師:梅原彩を中心に、
教育界の問題提起も含まれた事件が描かれる。
浅見光彦が、頼りなる知人として頼まれて
事件にかかわるところも含めて、
いつものシリーズより
力がぬけているところがかえって
浅見光彦自身の誠実なキャラクターと"正義”の実現を願う気持ちの
バランスが心地よく、楽しめました。
被害者の娘である澤日奈子の鬱屈した気持ちに耐えて
それを乗り越えようとする毅然とした生き方、
ところどころで語られる
子供たち(生徒たち)の姿も、
いろいろ問題を抱えているようなことがあっても、
まっすぐなところや成長する姿が好ましく。
大仰な事件ではないけれど、こういう作品もよいなと
思いました。
浅見光彦ファンの方に、おすすめです。