主人公は、厚生省麻薬取締官:大塚浩一
中学生の頃、好きだった同級生・咲子を亡くすことになった
事件を引きずったまま、生きている。
自ら望んで移った任地:北海道で、
暴力団フロントと取引にまぎれて
ロシアからきた”魔物”と向きあうことになる。
ロシア正教のイコンに封印されてきた”魔物”カシアンとの闘い。
自分の中の恐れと怒り、
抱えた感情は複雑ではあるけれど、
大沢在晶さんの小説としては、生真面目でまっすぐな主人公だなと
いうのが印象的。
美術の勉強のためにフランスへの留学費用を稼ぐために
ホステスとして働くジャンナの協力を得て行動をともにしながら
心を通い合わせていく。
そして”魔物”を退けたラストシーン、
こういうストレートな小説もいいなと思う。
何故だか、少しいやされます。