主人公の男と女、それぞれの視点で書かれた2編の小説。
辻仁成さんとのコラボレーションで話題になった作品の
江國香織さんヴァージョン。
映画のプロモーションは、エンヤの曲とあわせて、
ずいぶんテレビで露出していたし、映画自体もたぶん放送されたのを
みたように思うのですが、
正直、印象がうすくて、よく覚えていません。
女性主人公:あおいの視点で書かれた本作、
イタリアでの生活、アメリカ人の優しい恋人、
やさしい友人たち、
その生活リズムは、静かでゆっくりしていて、
おぼろげに記憶していた映画のストーリーとどこで
リンクしていくのか..
もどかしくてすこし退屈だと思いながら読み進めました。
後半に入って、もうひとりの主人公:阿形順正の手紙が
あおいの元に届いたときから、
それまでの抑えられていたトーンが、心情的に大きく揺れ動いて
そして・・
これが映画のクライマックスにもつながるんですね。
うーん、
映画を流してみていると、それほど感情移入できなかった、
喪失感や失ったものへの思慕、こみ上げる感情というのが
小説では、その後半からラストシーンまで
強く感じられて、この作品の描こうとしたことがようやくわかった気がしました。
最後のせつなさもまた。
阿形順正を主人公にした、
辻仁成さんヴァージョンも読みたくなってきました。