road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「冷静と情熱のあいだ」江國香織/角川書店

主人公の男と女、それぞれの視点で書かれた2編の小説。

辻仁成さんとのコラボレーションで話題になった作品の
江國香織さんヴァージョン。

映画のプロモーションは、エンヤの曲とあわせて、
ずいぶんテレビで露出していたし、映画自体もたぶん放送されたのを
みたように思うのですが、
正直、印象がうすくて、よく覚えていません。

女性主人公:あおいの視点で書かれた本作、

イタリアでの生活、アメリカ人の優しい恋人、
やさしい友人たち、

その生活リズムは、静かでゆっくりしていて、
おぼろげに記憶していた映画のストーリーとどこで
リンクしていくのか..
もどかしくてすこし退屈だと思いながら読み進めました。

後半に入って、もうひとりの主人公:阿形順正の手紙が
あおいの元に届いたときから、
それまでの抑えられていたトーンが、心情的に大きく揺れ動いて
そして・・

これが映画のクライマックスにもつながるんですね。

うーん、
映画を流してみていると、それほど感情移入できなかった、
喪失感や失ったものへの思慕、こみ上げる感情というのが
小説では、その後半からラストシーンまで
強く感じられて、この作品の描こうとしたことがようやくわかった気がしました。
最後のせつなさもまた。


阿形順正を主人公にした、
辻仁成さんヴァージョンも読みたくなってきました。