堂場瞬一さんの長編小説:
刑事・鳴沢了シリーズ8作目。
前作アメリカ研修での事件から帰国した成沢は、
西八王子署に配属されている。
東京でありながらも、地方都市の側面も持つ
八王子を舞台にした小説は、デビュー作の新潟県警での
活躍以来の味わいがある。
アメリカよりもやはり国内で活躍する鳴沢の方がいい。
刑事・鳴沢了シリーズの特徴として、それぞれの作品に
登場した人物たちがその後の作品でも有機的につながって
いくところに魅力があるのだが、本作でも
新聞記者であり、作家として小説も発表した過去を持つ
東日新聞記者:長瀬との絡みが大きなバックボーンと
なっている。
ストイックで原則的で、孤高の存在であり続ける鳴沢だけに
ラストシーンは重みがあった。