2008年、本屋大賞受賞作。
昨今、エンタティメント小説の分野で評価の高い小説を発表し続けている
伊坂幸太郎さんの最新長編。
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「伊坂幸太郎的に娯楽小説に徹したらどうなるか」という発想から
生まれた、直球勝負のエンターテインメント大作。
冴えわたる伏線、忘れがたい会話、時間を操る構成力・・・、
すべてのエッセンスを詰め込んだ、伊坂小説の集大成である。
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こんな紹介文を読んだら、期待せずにはいられない。
ようやく読んでみて、確かに伊坂小説の集大成、
そう、あらためて思いました。
JFK暗殺、
それを下敷きにした日本・仙台での首相暗殺事件。
ブログや新聞での書評などから最初イメージしていたのは、
映画「逃亡者」のようなストーリーでしたが、
やはり伊坂作品、違いましたね。
かつての伊坂さん作品でつづられてきた世界観、エピソードも
絡み合って構築されていくストーリー。
読み進めていく中では、多少のもどかしさも感じながら・・
読み終えた後で、また何度も読み返して
ああ、と余韻をかみ締める、そんな小説です。
とくに第5部「事件から3ヶ月後」。
この章を読みながら、自分の心にのこる不思議な感覚、感慨。
これを描くためにこの小説はかかれたのじゃないかと思う。
おすすめですが、
できれば、他の伊坂作品を読んだ後の方が
楽しめるかも知れませんね。
(逆に、伊坂worldの先入観なく最初にこの本を読んだほうがいいという
考えもあるかもしれない。)
ちょっと心に引っかかっているのは、
「ゴールデンスランバー(Golden Slumber)」という書名と
そのイメージへのよりかかり。
個人的には、原典をどちらも知らないので他の人がどう
感じるのかわからないけれど、
それは伊坂さん自身の思い入れから来るものなのか?
村上春樹さんの「ノルウェイの森」しかり、
小説以外の何かのイメージと切り離せないものとして
残っていくのが、著者の望むところなのかが
気になりました。