road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「カレンダーボーイ」小路幸也/ポプラ社

"時間もの”は、個人的に特に好きなジャンルだから、
新作がでたら必ずチェックするようにしている。

好きだからこそ楽しんで甘い評価になる部分もあるし、
国内外とわず一流の作家が手がけた傑作と比較して、
辛めの見方をしてしまうこともある。

今回、日本の作品である本作と、「リセット」垣谷美雨
2作を続けて読んで、
ああ、こんな世界を描くことができるんだと
感嘆した。

主人公の安斎(タケちゃん)と(イッチ)三都
は高校での再開以来職場を同じくする
友達、2006年の現在48歳

ある日、小学5年生だったころの自分、1968年に
心がタイムスリップする。そしてお互いに
同じ経験をしていることに気づいて・・

最近、自分より年上の世代を主人公にした
小説を読む機会が増えていると思う。
若いころの自分でなくて、少し先の未来の自分を
重ねて読める小説ということがありがたい。

1968年の3億円強奪事件が、二人をタイムスリップさせる
動機とつながっていて、だから当時のその日までの刻む時間が
物語のリズムを作っている・・だけに。

さすがにこの部分の処理は、拍子抜けした感がある。
この部分まで緻密に大胆に描ききれば、
また違う小説になったかもしれないとは思った。

・・・
それでも、楽しめた。
少しのせつなさが残るEnding。

振り返った少年時代の友情、生活、そして小さな冒険。

日本で、
同じような時代を過ごしてきた自分だからこそ
重ねられる、それがこの小説の魅力。

垣谷美雨さんの「リセット」とあわせて、
40代を迎えた人に読んでほしい。
(この小説を10代、20代のころに読んでいたら
 どう感じていたのかなあ。)

おすすめです。