北海道の田舎町、
かつては炭鉱で栄えた町で育った幼なじみの4人。
トシ、ミッチョ、シュン、ユウちゃん。
小学校4年のある秋の夜に、
ボイジャーを見ようと示し合わせて出かけた
名前のない丘で彼らは星空を見上げる。
将来の夢を語り、「カシオペアの丘」と名づけたその丘で
成長して大人になった彼らがまた再会する・・。
主人公たちの年齢が(おそらく)私と同じ年ということで、
彼らのそれぞれの境遇とも重ね合わせて
すこし特別なものを感じた。
独身だったり、結婚していたり、
結婚していても子供がいたり、夫婦だけの人生を選んだり、
健康だったり、病や障害と闘っていたり・。
子供の頃のことでも、鮮明に覚えていることはいくつもある。
すれちがうことなく何年もの時がながれていても、
突然また、切れ目などなかったかのように
当時の気持ちに戻れる。
そういう人の気持ちの不思議さが、この小説の核になっている。
病気で死ぬこと、遺された家族や友人のこと、
これは、重松清さんの書く小説の大きなテーマのひとつだと思うのだけれど、
上・下巻の長編という形で、かつての幼なじみ4人に焦点をあてて
描いた本作は、短編集とはことなる味わいがありました。
健康で生きていられることは、すばらしいことだと
あらためて思います。