精神科医:伊良部一郎シリーズ、最初の本。
「イン・ザ・プール」
「勃ちっ放し」
「コンパニオン」
「フレンズ」
「いてもたっても」
の5編を収録。
シリーズ2作目の「空中ブランコ」を先に読んでいたので、
一作目のトーンにはちょっと驚かされた。
悩んだり、苦しんだりして精神科を訪れる
各篇の主人公でもある患者たちの神経症の描写が痛々しくもあり、
「コンパニオン」や「フレンズ」など読んでいて苦しい感じさえした。
だからこそ、伊良部先生や看護師:マユミとの絡みを経て、
脱出のきっかけみたいなものをつかむラストシーンは、
つよい開放感があるのだと思う。
「勃ちっ放し」での伊良部先生の結婚生活も・・
深読みの余地をなくすような。
「いてもたっても」の展開と開き直りには、笑ってしまった。
連作長編として書いているうちにだんだん、
キャラクターが固まっていって、
人気作になっていくというのはこういうことなのだと思う。
新作もどんどん書き続けて欲しいと思います。