road2vのブログ - a little white rooster

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「映画篇」金城一紀/集英社

太陽がいっぱい
ドラゴン怒りの鉄拳
恋のためらい/フランキーとジョニーもしくはトゥルー・ロマンス
ペイルライダー
愛の泉


金城一紀さんの小説といえば「GO」しか読んだことがなかった。
おもしろかったし、鮮烈だったが
その分「GO」の印象が強く残りすぎていた。

太陽がいっぱい
イントロダクションである本編で
作者の金城さん本人を想起させるような主人公を登場させるところから
成長した「GO」の主人公をみるような気持ちにもなる。
主人公が少年時代から青年期までライブに出会う映画の数々は、
年齢がひとつちがい(上)の私の記憶ともシンクロして、
この小説の現実感を強くした。


ここまでは、想像していた範囲。

それに続く
映画の名前を冠した、映画にまつわる短編・中篇の中で
まったく別の主人公たちの人生がつづられていって
・・

「愛の泉」の終盤のシーンに到達したときに
各篇の主人公たちの人生への思いが交錯して
胸になんともいえない暖かいものがこみ上げてきたように感じた。

作家としての金城さんの力量に感嘆した。
こんな小説を書ける人だとはおもってなかった。

おススメです。

個人的には、今年のBEST作品になるかもしれないと思いました。