”栄光と挫折" という言葉が浮かぶ。
高校No.1のゴールキーパー。当時からひときわ輝く存在だった。
横浜マリノスでも代表GK松永成立を押しのけて早々にレギュラーをとった。
そしてアトランタ五輪での奇跡のブラジル戦勝利。
日本がはじめて勝ち取ったフランスW杯へ。
不動の守護神の立場を手に入れているように思えた。
英国2部のポーツマスへの移籍、
出場機会にめぐまれず、
日韓W杯でゴールマウスを守っていたのは、楢崎正剛だった。
デンマークのノアシェランへ。
移籍時の日本のマスコミでの大きな取り扱いと、その後の沈黙。
川口能活が苦しんでいるだろうことは想像できた。
光が強ければそれだけ、影も深く落ちる。
本書は、彼のそんな3年間に密着したもの。
栄光しか知らない男より、挫折を乗り越えようともがいている
姿の方が魅力的だと思う。
この時期に出会った女性を伴侶にして、私生活も安定した。
アジア杯での奇跡的なPK戦勝利はまだ記憶に鮮明だ。
そしてドイツW杯。
苦しんだことが、川口能活を大きくさせたと思う。
アスリートがTOPパフォーマンスを発揮できる時間は
限られていると思うが、
再び輝き始めた彼には期待したい。