road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「名もなき毒」宮部みゆき/幻冬舎

青酸カリ混入による連続殺人・・から物語がはじまる。

主人公は「誰か」の杉村三郎。

宮部みゆきさんの本を読むのは、久しぶり。

普遍的な小説として、
上手くなっているなあというのが読み進めながらの最初の印象。

「誰か」の続編という情報は得ていたのだが
別の小説を読んでいるのかと思った。

模倣犯」も「理由」もラストシーンに向かって
物語を紡ぎあげていく中で、主人公や周りの人物の
描写に宮部ワールドが色濃く感じられていた。
毛色がちがうけれど、「クロスファイヤ」などもそう。

それが魅力のひとつでもあるのだろうけれど、
視点や思いに完全に共感できないところもあった。
(それが宮部さんの意図したリアリティなのかも?)

本作の杉村三郎の設定は、
物語だからこその特殊なものだともいえるし、
「誰か」では、それだけに少し肩のちからを抜いて読める部分があって
よかったのだが、

本作では、俄然リアリティが増したように思った。
それも、宮部色でない、普遍的なもの。
{原田いずみの存在にリアリティを感じる現実は嘆かわしいけれど。}

抑制された杉村の行動や感情の動きには、
共感を覚えて、宮部作品の中でも初めてというくらいに
素直に読み進めたような気がする。

そして、ラスト。

うーん、そうなのか?そうくるのか?
でもまた続編があるなら、ぜひ読みたいシリーズになったと思う。