2001年、当時17才での第38回文藝賞受賞作品。
この作品の後、
『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を史上最年少の19歳で受賞して
テレビやマスコミでのさかんに取り上げられたのはご承知のとおり。
綿矢りささんの作品を読むのは初めて。
純文学というジャンルになるのだろうけれど、
芥川賞をとるような作品になると、エンターティメント性も要求されるように
なっていると思う。
17歳での文藝賞受賞といえば、堀田あけみさんの『1980アイコ十六歳』がそう。
私が10代の後半の頃に、映画化・ドラマ化されて話題になり
当時文庫を買って今でも書棚にある。自分と同じような年令の女子高生が
書いた小説はとても新鮮だったし、楽しめた。
芥川賞の市場最年少受賞というのも合わせて、
だから、綿矢さんの小説は
同じように若い世代にとっては、より興味を引かれる存在なのではと思う。
10代の若者たちの過ごしている世界も
私がそうだった頃と比べて
すっかり変わったこともあれば、変わらないものもあるだろう。
17歳の綿矢さんが、切り取ってつむぎだした世界も、
書かれた2000~2001年当時と比べて、
今はもうかなり変わっている部分があると思った。
そういう意味では、旬である時期に読めなかったことは
私が十代だったら残念に思ったかも。
とはいえ、主人公の女子高生が不登校を続けている中で出会った、
同じマンションの小学生の男の子との不思議な交流を通して、
また始めようと思う、ストーリーは
普遍的で好感をもって読了しました。
彼女自身も、そして出版社も大事に大切に作家としての
道を歩もうとしているようなので、期待したいと思います。