第129回直木賞候補作品。
殺人を犯して刑務所に収監された兄から届く手紙、
残された弟の苦難にみちた生活、葛藤。
読み始めてすぐ、デジャブのような感覚があった。
最初は、ドストエフスキーの「罪と罰」を連想した。
読みやすい平易な文章ですぐに、独特の世界に引き込まれた。
兄の短慮への憤りや、弟へのやきもきする思い、
おそらく、東野圭吾さんの緻密な構成にのせられるように
いろいろなことを考えさせらえる。
あとがきで井上夢人さんが語っているように、
自分の心を写す鏡のような物語でもある。
二人の最後の手紙と、
そしてJ・レノンのイマジン。
直木賞を受賞した「容疑者Xの献身」や「秘密」のような
話題作よりも心を揺さぶられたかもしれない。
オススメです。東野圭吾ファンの人にも
そうでない人にも、ぜひ読んで欲しい。