road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「生誕祭 上・下」馳星周/文藝春秋

バブル経済の頃の東京を舞台に、カネと女と権力を
めぐる攻防を、馳星周が描く長編小説。

書名からイメージしたのとはちがって、現実のバブル時代を
下敷きにした小説は、
林真理子さんの「アッコちゃんの時代」とモデルを同じくする
登場人物の設定もあり、従来の馳さんのクライム・ノベルと比べると
抑えたリアリティがあって、これはこれで魅力があった。

バブル当時、まだ入社まもないサラリーマンだった自分には、
土地の高騰や、外車などの投機商品化などのニュースは遠い
話だったが、この時代を描いた小説を何作か読んでみて
とにかく尋常でない活気のある時代だったのかと思う。
(今の中国も近いのかもしれない。)

主人公の堤彰洋が、悪にも徹しきれずに
翻弄されて右往左往する様も、すこし共感してしまった。
三浦麻美が彼女なりに、最後は幸せになった?のもまたよいか。